2013年12月17日火曜日

英国大学院の授業(3):Trade Mark Licensing

毎日、毎日、バタバタしていて、なかなか大学院の授業で学んだ事をまとめる時間がありませんでした。が、先週でクリスマス前の授業は終わったので、復習がてら、まとめたいと思います。。。。

概論が終わったあと、2回にわたって商標のライセンシングについての授業でした。
概論の時にも強く感じたことですが、英国の大学院での授業では、当たり前といえば当たり前ですが、とにかくEU圏についての話が多いです。

商標ライセンスのポイントとして主に授業で取り上げられていたのは、以下3つのポイント。
  1.  Exhaustion(消尽)
  2.  Quality Control(品質管理)
  3.  Selective Distribution(選択的販売経路)
特にこの中でここがヨーロッパだと感じたのは、Exhaustion(消尽)のお話。日本の判例であるフレッドペリー事件で出てくるような並行輸入の議論とは別に、EU経済の重要な原則であるFree movement of goodsの議論が出てくるという点です。大原則として、本来、EU圏内は自由に物流が行われるべき。しかし、EU圏内の特定の地域だけをライセンシングの対象地域(Territory)として専用使用権(Exclusive license)を設定した場合Territory外からの商品の輸入やネット販売はどうなるでしょう?とういう問題提起がなされる訳です。

もちろん、日本国内でも、ある特定地域のみで使用権を認めるようなライセンシング契約は行われるので、同じような問題提起ももちろんあります。しかし、EU圏の場合は、法律の違う加盟国間(Member state)で、色々な努力の末、物流の自由を合意したという流れの中で、その例外として、商標ライセンスをはじめとした知財法をどう規定するのか。という話が活発にされていました。

また、この授業は、知財を専門とする学生だけでなく、競争法(Competition law)を専門とする学生も対象に行われているため、独占権しての知的財産権と自由な競争と関係についても多く話されました。私のように、法律全体から見ると特別規定の塊のような知的財産関連の法律ばかりを勉強してきた人間にとっては、このような法律の大原則の中で、いかに例外的に知的財産権を運用するかという話は、頭ではわかっていても、ついつい忘れがちになってしいます。また、このような話を直接聞くことこそ、今回、LLMのコースに潜り込んだ目的の一つだったので、このような話が聞けたのはとても有意義でした。

Trade Mark Licensingにあたって、中心的に取り上げられた判例は以下のものでした。ご参考まで。
  • Scandecor Development v Scandecor Marketing [1998] HLs
  • Case C-59/08 Copad SA v Dior, 2009
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