2012年7月20日金曜日

背中で足の生えたカサブタの発見!

7月の3連休に道南の大沼に家族3人で旅行に行き、大いに楽しんだのだけれど、帰宅後、夫の背中に「足の生えたカサブタ」を発見!

よーく、よーく見ると、虫が夫の背中に頭を突っ込んでいる。どうやら、吸血している様子。。。。

(私)「なんか、背中に虫がくっついてるよ。」

って言ったら、

(夫)「早く取って!!!!!」

とのこと。引っ張っても、ぜーんぜん取れなかったのだけれど、渾身の力を振り絞り、夫の背中からその「足の生えたカサブタ」を切除。しっかし、口の先っぽがどうも残っている!!!やれやれ。。。

取ってから、色々サイトで調べるも、いったい何の虫かわからない。ちょっとツイッターでつぶやいたら、ドイツの友人から「それって、もしかして、Zeckenじゃない?」との反応。

Zeckenとは、マダニの事で、ドイツなどのヨーロッパでは脳炎を引き起こす恐ろしい虫として恐れられている。私も、ドイツ滞在中には、「ドイツの草むらに入ると、日本にはいない、恐ろしいダニに血を吸われて、脳炎になるから、安易に草むらの中に入ったらあかんよ。」と、ドイツ在住の日本人達に口を酸っぱくして言われていた。

が、この「日本にはいない、恐ろしいダニ」というフレーズが今回問題だった。マダニに噛まれたら、無理矢理つぶしたり、引きちぎったりしてマダニの体液を人間側に入れないように注意して、人間の身体から速やかに取り除く必要がある。って聞いていたけれど、このマダニは日本には存在しないと思い込んでいたため、脳内の記憶フォルダーからこの情報が、私の意識下におりてくることがなかったのである。なので、渾身の力を振り絞って、このマダニちゃんを夫の背中から切除した際、たぶん、マダニの体液のいくらかは、夫の身体に注入されたと想像される。。。。あぁぁ。。。。。

しかし、なぜ、「マダニは日本にいない。」という思い込みになったのか?ドイツ滞在中にお世話になった日本人達は、本州の平地から移り住んだひとばかりだったから「日本にはいない。」と表現したのだろう。しかしこのマダニ、日本でも長野なんかの標高の高い地域や、北海道には、割と普通に生息するらしい。特に、北海道なんかは、ドイツに似た冷涼な気候の為か、ドイツ同様に“その辺の原っぱ”に普通に住んでるという。




(以下、医学的な範疇のことを書くけれど、私はあくまでも、医学については素人なため、間違いが含まれている可能性があることをご了承ください。)

さて、このマダニが引き起こす病気については、ワクチンがあるとか、ないとか、発症後の治療方法があるとか、ないとか。人からの伝聞や、ネットの情報などで、色んな説が流れていた。このような、情報の混乱は、どうも、マダニが媒介する病気が大きく分けて、ウィルス性の「ダニ脳炎」というものと、細菌性の「ライム病」の二つが存在するにもかかわらず、どうも、この2つの病気が混同されて語られるためよく解らないことになっているらしい。

まず、ヨーロッパなどで予防接種が広く行われているのは、「ダニ脳炎」に対するものらしい。そしてこのダニ脳炎は致死率および後遺症の発生率が比較的高い上、発症してしまうと、対症療法以外に治療法はないという。

一方で、ライム病は、かつて北米でワクチン販売がされたものの、副作用がみつかり、現在ではワクチン販売が世界的にされていないらしい。しかし、発症後であっても、抗生物質の投与によって治療は可能だという。

つまり、仮に「ダニ脳炎」の予防接種を受けていても、ライム病には罹る可能性はあるし、マダニに噛まれた後に発熱等の症状が出ても、抗生物質の投与がすべての場合に対して有効ではない。

さらに、これら「ダニ脳炎」と「ライム病」、いずれも、北米やヨーロッパ、そして恐ろしいことに日本でも特に北海道では発症した患者が確認されているし、野生の動物も両方の病原体を一定の確率で持っているようだ。つまり、北海道でアウトドアをする際は、ヨーロッパでアウトドアを楽しむのと同じ位、マダニちゃんへ注意を払う必要がある。

じゃ、どうやって注意したらいいかというと、
  1. 藪に入り込まない。
  2. 長袖、長ズボンをはく。
  3. なるべく白い服を着る(マダニが着いた時に発見しやすくなる)。
  4. ピクニックするときも、シート等を使って、直接草の上に座ったり、寝転がったりしない。
  5. 外から帰ったら、身体にマダニちゃんが着いてないか、確認する(すぐに吸血を始める訳で無く、また、かみついてからも、24時間から48時間以内に適切な方法で取り除けば、病気の感染確率は低く抑えられる)。
というようなことをすればよいようである。

で、もしも、噛まれた姿で発見された時のマダニちゃんの適切な取り方は、

  1. マダニちゃんの身体をつぶしたり、握ったり、熱を加えたり、アルコールかけたりして、身体を刺激しない(マダニちゃんの体液が人間の身体に入るのを防ぐため)。
  2. 人間の身体とマダニちゃんの身体の間の口の部分をピンセットなどで挟んで引っこ抜く。

ということらしいが、私が引っこ抜いた経験からして、結構な力がいります。
そして、私のように虫を掴むのが平気な人間はいいですが、虫嫌いには耐えられない作業だと思います。

なので、病院が空いている時間であれば、さっさと皮膚科に行って取ってもらったいいかと思います。

ちなみに、私の夫は、翌日、私や、昔ライム病に罹ったと思われる道産子の職場の方から脅されまくって、皮膚科を受診。私が取り損なったマダニちゃんの口の先は、

「そのうち身体の一部になるか、身体から出てくるから放置しとけばいい。」

と言い放たれるも、

「まー、たぶん、大丈夫やと思うけど、医者の立場としては、抗生物質処方しとかなねー。」

とか言われて、抗生物質を10日間処方されておりました。


最後に、少し話しがそれますが、、、、
北海道では、日本脳炎を媒介する蚊が発生していないという理由で、子供への日本脳炎ワクチンの定期接種がありません。なので、日本脳炎の予防接種を希望する場合は、北海道民は自己負担です。
北海道で幼少期を過ごしても、本州に移り住んだり、旅行に行くのは現代ではよくあることだと考えるため、北海道だけ日本脳炎の定期接種が除外されているのは、今までずっとおかしいと思っていました。
今回の件で調べてみると、北海道には存在するというダニ脳炎は、ワクチンで予防できる病気とのこと。日本脳炎が北海道にないという理由で日本脳炎ワクチンを定期接種から除外するのであれば、北海道には存在するダニ脳炎の定期接種について検討する必要性はないのかな?と、少し疑問に思いました。
患者数や、ワクチンの有効性などとの兼ね合いだとは思いますが、北海道は、本州とは気候風土が異なるにもかかわらず、時として行政対応が東京のそれに準じていることが多いです。単に、東京で「ダニ脳炎」の危険性を感じないという理由だけで、ダニ脳炎ワクチンについて検討がされてないのだとすれば、北海道独自で検討を進めていく必要性もあるのかなぁ。。。とか思いました。


この記事を書くにあたり、下記のページを参考にしました。

マダニ」 ウィキペディア

ライム病」国立感染症研究所 感染症情報センター

ダニ媒介性脳炎」国立感染症研究所 感染症情報センター

ダニ脳炎」シリーズ:添乗員のための旅行医学 

ダニ媒介性脳炎の国内外での状況」人と動物の共通感染症研究会のサイト

その後談もアップしましたので、宜しければこちらもご参照ください。

マダニに噛まれた! その後。



マダニを除去するための器具も通販で販売しているようです。ご参考まで。

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